一級建築士という資格と責任
一級建築士を取得したのは27歳の時でした。
結婚までに取りたい!と頑張ったのですが、2次試験の図面で不合格。
結婚後に再度2次試験にチャレンジして何とか…。
その後、別居、離婚・・・・へと進むわけですが、
別居期間中は、子ども2人を保育園に預けることができないので
2年ほど在宅で図面描き?の仕事をしていました。
もちろん、子どもだけで遊んでいる隙間の時間や、寝静まってから。
その仕事は2種類。
1)設計事務所の図面の下請け
2)営業マンから依頼された間取り作り
1)は、実施図面と言われる、細かい図面を描くお仕事。
2)は、打合せには同行しませんが、お客様の要望を聞き間取りを考え提案するお仕事。
そんな中で「資格」を、とても意識した出来事がありました。
それは1)のお仕事でのこと。
1)は2社から受注していました。Aは設計事務所から直接受けた仕事。Bは設計・施工会社を通して、大手設計事務所からくるお仕事。
どちらも子供を連れて打ち合わせに行かせてもらっていました。
みんな、私の境遇を見て何とかしてあげよう・・・と思ってくれていたんだと思います。
でもね、Bの社長が「川北さんの名刺を作ったから、今度のお客さんにこれを渡すわ!」と…
見ると、その会社に私が勤務しているかのような名刺。もちろん、肩書には一級建築士とある。
その時、言葉を失いました。
これを渡して受注した仕事は、私が責任を持つということになる。
その会社は一人でされていて、社長も資格は持っていませんでした。
どういうつもりで、その名刺を作り、それで営業しようとしていたのか、
その社長に聞くという行為もできないほど、私・・・・
怒りました(汗)。
私は図面を描くという仕事をお受けしたのであって、その会社の施工に責任を取れるわけがありません。
責任を取るということであれば、すべての図面や現場もチェックしないといけません。
設計ミス、施工ミスがあれば、どんな事になるか?
想像しただけで、とても恐ろしかった。
人命に関わることだってあるんです。
※阪神大震災の2年後ぐらいの出来事です。
それだけ責任のある仕事・資格なんだと。
今までは、イチ従業員でしかありませんでした。
お役所の書類に掲載されるのは、管理設計士の名前です。
まだまだ、甘かったということですね…。
きっと、たくさんの言葉を社長にぶつけたと思います。
結局、それがあり、そことのお仕事は終わりました。
それ以降、建築に関わっている会社の社長や資格者が、
どれだけ責任感を持って仕事をしているかが、よく見えるようになりました。
パートナーを選ぶとき、聞いてみてください。
「建物を建てる」という仕事について、どう考えていますか?って。
そこにあなたが仕事をしていると同程度の責任感が感じられたら、
きっと、生涯のパートナーになるはずです。
※家は一生付き合うものですから…。